函館・札幌の洋芝適性欧州血統とナスルーラ系の共通点

コラム・小ネタ

夏競馬の舞台として注目される函館競馬場と札幌競馬場。これらのコースで特徴的なのが「洋芝」と呼ばれる芝の馬場状態です。

一般的なJRAの競馬場は「野芝」が主体ですが、洋芝は野芝に比べてクッション性が高く、馬力と持続力が求められる傾向にあります
この特殊な馬場では、ある特定の血統背景
欧州血統や一部のナスルーラ系が好走しやすい傾向が顕著です。

今回は、函館・札幌の洋芝適性とその血統的裏付けについて詳しく掘り下げていきます。


そもそも「洋芝」とは?

JRAでは芝コースに主に「野芝」と「洋芝」の2種類が使用されています。
洋芝は涼しい気候に強く、北海道の気候に適しているため、函館・札幌では開催期間を通して洋芝主体の馬場となります

特徴:

  • 芝が密集し、クッション性が高い=力のいる馬場
  • スピードだけで押し切るより、持続的な加速や底力が重要
  • 馬場が傷みやすく、時計がかかりやすい

このような特徴は、日本型の「瞬発力・軽さ」よりも、欧州型の「持続力・パワー」志向の血統にフィットするのです。


洋芝に強い!欧州血統の具体例

欧州血統とは、主にイギリス・フランス・アイルランド系の芝中長距離血統を指します。
代表的な血統や種牡馬を紹介します。

■ モンジュー(Montjeu)系

  • ガリレオ(Galileo)やその子供たち(オーストラリア、ニューアプローチなど)
  • スタミナ型で洋芝×中距離向き。函館1800mなどで好走例あり
  • ※日本では出走機会が限られるが、輸入馬では洋芝巧者が多い

■ キングマンボ系(欧州型牝系)

  • キングズベスト、キングマンボ×欧州牝系など
  • 米国系でも、欧州牝系を経由したキングマンボ系は洋芝で強調

■ ダンチヒ系(Danzig)

  • ダンチヒの欧州型分岐
    (デインヒル系など)
  • サドラーズウェルズ系と並んで、馬場が渋っても底力を発揮

欧州系の馬は、時計がかかる馬場や上がりのかかる流れに強く、洋芝においてはむしろ武器となる要素を多く持っています。


意外な活躍血統:ナスルーラ系の粘り

日本ではややマイナーになりつつあるナスルーラ系ですが、函館・札幌のような特殊馬場で存在感を発揮します。

ナスルーラ系の特徴

  • 古くはトニービンやノーザンテーストを通じて日本に定着
  • 欧州的な粘りとスピードのバランスが絶妙
  • 特に「内回り・持続戦」での先行粘りに強い

近年の注目血統:

  • ルーラーシップ(トニービンを内包)
  • ドゥラメンテ(母系に Mill Reef)
  • モーリス(母父カーネギー=Caro 系=ナスルーラ系)

ナスルーラ系の良さは、「前に行って粘る」「切れ味勝負にしない」競馬。
これはまさに、洋芝で勝ち上がる馬の理想的なレース像と重なります。


血統×洋芝=“見えない優位性”

ローカル開催で求められる適性は、
「走破タイム」より「粘りきる能力」。
欧州血統やナスルーラ系は、派手さはなくても安定感と底力で勝ち上がるケースが非常に多いのです。

例えば:

  • 札幌芝1800m
    欧州血統(持続力型)
  • 函館芝1200m
    ナスルーラ系×先行力
  • 芝2000m以上の新馬戦
    サドラー系・モンジュー系の出番

まとめ|洋芝は“日本型”だけでは勝てない

函館・札幌の洋芝開催は、「スピード偏重」の日本競馬とはやや異なる適性が問われます。
だからこそ、血統を見れば他のファンが気づかない“走れる根拠”に辿り着けるのです。

夏競馬を血統で攻略するなら
欧州血統とナスルーラ系、ぜひ覚えておいてください。

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