「3歳は斤量が軽いから有利」「いや古馬は完成してるから強い」――このあたり、競馬の会話だとめちゃくちゃ出てきますよね。でも実際のレースを見ると、
- 軽い3歳があっさり古馬を差し切る日もあれば
- 古馬が「地力の違い」でねじ伏せる日もある
ので、「結局どっちが有利なの?」ってなりやすいところです。
で、今回はあえて斤量の話はいったん横に置いて、それ以外で何を見ておけば“3歳と古馬のバランス”を読めるのか、初心者向けに整理しておきます。これ分かってると、秋のGⅠシーズンとかハンデ戦で迷いにくくなります。
1. そもそも3歳と古馬では“作りかけか完成か”が違う
一番の大前提はこれです。
- 3歳…まだ成長途中。筋肉・体重・気性・スタミナが“伸びる余地あり”
- 古馬(4歳以降)…体ができてきている。今持っている能力を安定して出せる段階
つまり、3歳は「伸びしろで戦う」ことが多くて、古馬は「完成度で戦う」ことが多い。
なので、**「今この時点での完成度がどれくらいか」**を見ておくと、斤量以外の差をつかみやすくなります。
たとえば、春にGⅠを勝ってる3歳が秋に古馬相手でもいきなり通用したりしますよね?あれはもう“3歳としては完成度MAXグループ”だから、古馬と比べても数字が足りるんです。
2. 体の成長スピードはみんな同じじゃない
ここもわりと見落とされがち。3歳とひとくちに言っても、
- 早めに完成するタイプ(マイル~中距離のスピード型)
- 4歳になってからグッと良くなるタイプ(中距離~長距離のスタミナ型・欧州血統寄り)
- 気性が抜けるまで走りが安定しないタイプ
みたいに差があります。
だから「3歳だから軽くて有利」じゃなくて、
この3歳はもう古馬レベルの体つきになってる?
まだ細くて“3歳らしい”見た目してない?
を見たほうがいいです。パドックとか前走の馬体重で“増えてきてるかどうか”をチェックしておくと判断しやすいですよ。
3. ローテーションが大きい
斤量以外で一番大事なのは実はここです。
「3歳がどの相手と戦ってきたか」
で、古馬との距離が一気に縮まります。
例で言うと…
- クラシック(皐月賞・ダービー・オークス・菊花賞)で上位にいた3歳
→ すでに世代トップの強度で走っているので、秋の古馬相手でもいきなり通用しやすい - 3歳限定の重賞で“勝ってるけどメンバーが薄い”ケース
→ 古馬のオープン・GⅡに入ると「格の差」を感じやすい
つまり同じ3歳でも、
「世代トップと渡り合ってた3歳」=古馬に近い
「自己条件でコツコツ勝ってた3歳」=まだ古馬とは差がある
と考えるとわかりやすいです。
4. レースの“質”が3歳向きか古馬向きかを見る
これも覚えておくと便利なやつ。
3歳に向きやすいレース
- スピードに乗りやすいコース(東京・京都の外回りなど)
- 馬場が軽い日(時計が速い日)
- そこまでパワーを問われない条件
→ まだ体ができきってない分、軽い条件のほうが3歳は力を出しやすいです。
古馬に向きやすいレース
- 坂を2回登る・コーナーを何回も回る(中山2500、中京2000など)
- 馬場がちょっと重い・スタミナを使う日
- ペースが厳しくて最後まで脚を使い続けるレース
→ 体ができている古馬は、こういう“消耗するレース”で差をつけやすい。
なので、「今日は馬場がタフだな」「コースがきついな」って日は古馬寄せ、
「今日は軽いし直線長いな」って日は3歳も上にとるとバランスが取りやすくなります。
5. 位置取りのうまさ・レースの上手さは古馬が上になりやすい
斤量を抜いて考えると、古馬の強みはレースの上手さです。
経験を積んでるので、
- 位置を取りに行くときに無駄がない
- コーナーで隊列が詰まっても落ち着いてる
- 直線で手前を替えるタイミングが安定してる
といった「当たり前のことを当たり前にやれる」メリットがあります。
逆に3歳は「能力はありそうなのに、直線で進路を見つけるのにモタモタして2着」みたいな、惜しい負けが起きやすい。
だからパドックや前走で
この3歳、まだちょっとフワフワしてるな…
と思ったら、斤量が軽くても少し評価を下げて、完成してそうな古馬を上にしたほうが安全です。
6. 季節もけっこう影響する
ここも地味に効きます。
- 夏〜初秋の高速馬場
→ 体がフレッシュな3歳が走りやすい
→ 小柄でもスピードで勝負できる - 晩秋〜冬で馬場が重くなってくる頃
→ 馬力・筋力のある古馬が強くなる
→ 3歳は「斤量あってもパワー足りない」が出やすい
なので、同じ3歳vs古馬でも
夏なら3歳寄せ、冬なら古馬寄せ
みたいに季節でざっくりスイッチしておくのもアリです。
7. 血統で“成長曲線”を見るのも!!
ちょっと慣れてきたらここも見ると楽しくなります。
- ディープインパクト系・キンカメ系・新しめのスピード型 → 3歳で完成してることが多く、早い段階で古馬に混じれる
- ステイゴールド・ハーツクライ・欧州色の濃いスタミナ型 → 4歳以降にもう一段階パワーが乗ることが多いので、3歳の時点だと古馬にぶつけると見劣る場面もある
「この馬はまだトモ(後ろ)が緩いな」「まだ線が細いな」と思うときは、血統がそういう“遅めに良くなるライン”じゃないかを見ると説明がつきます。
8. まとめ
最後に、実際に出馬表を見たときの並べ方を置いときます。斤量は見ない前提ね。
- まず古馬の一線級を基準に置く
→ GⅡ・GⅢで安定してる古馬を“ものさし”にする - そこに「クラシック上位の3歳」だけを同じ棚に入れる
→ 同世代トップは古馬に混ざってもいい - 夏以降にグンと良くなった3歳は、当日の馬場が軽いなら評価アップ
→ 東京・京都みたいな軽いコースなら3歳寄せ - タフな条件・冬に入ってきたら、ほぼ古馬優勢に寄せる
こうしておくと、「3歳だから全部上」「古馬だから全部上」みたいな大雑把な見方をしなくて済みます。
今日の一言でまとめると
3歳と古馬、どっちが有利かは“成長度合い+今回の条件の重さ”で決まる。
斤量はあとから足すボーナス、くらいに考えると予想がブレにくい。
こんな感じで見ていけば、買うときに「でも3歳軽いしな…」「古馬の貫禄もあるしな…」で悩む時間がだいぶ減るはずです。



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