日本競馬を変えた輸入牝馬10選

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1. ウインドインハーヘア(Wind In Her Hair, IRE)

なぜ変えた?――“ディープインパクトの母”。この一頭が、日本血統の座標を塗り替えた。
物語:アイルランドから日本へ。彼女はやがてブラックタイド、そして七冠馬ディープインパクトを産み、のちのレイデオロやレガレイラへと続く偉大な母系の起点になった。
余波:ディープが築いた“日本的・瞬発×持続”の黄金式は、種牡馬・繁殖牝馬の設計思想を根底から変えた。


2. ダンシングキイ(Dancing Key, USA)

なぜ変えた?――“ダンス”一族の祖。牝馬三冠級の厚みを、母系から繰り出した。
物語:1990年に日本へ。未出走の輸入牝馬が、ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムード…と、芝の王道に名を刻む名牝系を築く。
余波:日本は“輸入牝馬×内国産名種牡馬”で世界級を作れる──その成功体験の原型。


3. パシフィカス(Pacificus, GB)

なぜ変えた?――“兄弟で時代を席巻”。ビワハヤヒデと三冠馬ナリタブライアンの母。
物語:バブル末期に英国で購買。受胎輸入したシャルードの仔がビワハヤヒデ、続けてブライアンズタイムを配してナリタブライアン。輸入牝馬戦略を一般生産者にまで広げる象徴となった。
余波:名牝を“状態込みで”運ぶ時代へ。配合設計とセール戦略がリンクし始める。


4. サドラーズギャル(Saddlers Gal, IRE)

なぜ変えた?――“欧州の重厚さを、東京の直線に”。エルコンドルパサーの母。
物語:体調不安で上場取り止め──それでもオーナーが現地で直談判して買い付け、日本へ。キングマンボとの配合からエルコンドルパサーが生まれ、凱旋門賞2着で“日本は世界と戦える”を証明した。
余波:欧州牝系×世界的サイアーの“現地交配→日本育成”モデルが定着。


5. マンファス(Manfath, IRE)

なぜ変えた?――“キングカメハメハの母”。サンデー一強に“もう一つの幹”を与えた。
物語:キーンランドでキングマンボ受胎のまま購買→日本でキングカメハメハを出産。のちにロードカナロア、ドゥラメンテらへ連なる巨大樹を育て、配合の多様性を回復させた。
余波:日本の種牡馬地図は“SS系とキングマンボ系”の二大潮流に。輸入牝馬が幹を作れることを再証明。


6. ドナブリーニ(Donna Blini, GB)

なぜ変えた?――“ジェンティルドンナの母”。“短距離G1牝馬×ディープ”の逆転発想。
物語:英G1スプリント勝ちのスピード牝馬を日本が輸入。ディープとの配合で牝馬三冠&JC連覇のジェンティルドンナ、重賞馬ドナウブルーを送り出し、距離の固定観念を崩した。
余波:短距離質の母に“日本的スタミナ/瞬発”を足す配合術が市民権を得る。


7. ラヴズオンリーミー(Loves Only Me, USA)

なぜ変えた?――“世界で勝つ牝系の形”。ラヴズオンリーユーとリアルスティールの母。
物語:ミエスク直系×ストームキャットという超良血を日本が輸入。娘ラヴズオンリーユーは日本調教馬初のブリーダーズカップ優勝&米エクリプス賞受賞、息子リアルスティールはドバイターフ制覇。牝系の“輸入価値”を世界舞台で示した。
余波:国内G1だけでなく、世界G1の獲り方に直結する牝系投資へ。


8. マルペンサ(Malpensa, ARG)

なぜ変えた?――“南米の芯”。サトノダイヤモンドの母。
物語:アルゼンチンG1を芝・ダ兼用で3勝した万能牝馬を日本へ。初仔サトノダイヤモンドは菊花賞・有馬記念を制し、南米由来の底力が日本中長距離でも通用することを証明した。
余波:“南米牝系×ディープ系”の発想が普及し、牝系の調達先がさらにグローバルに。


9. ローザネイ(Rosa Nay, FR)

なぜ変えた?――“薔薇一族”の始祖。ロゼカラー→ローズバド→ローズキングダムへ。
物語:1993年に社台がフランスから輸入。受胎産駒ロゼカラーから連なる一族は、ついにジャパンC馬ローズキングダムを輩出。“代を重ねて強くなる”日本型ファミリーの成功例になった。
余波:輸入牝馬を“家系づくり”の核として長期運用する考えが定着。


10. シンハリーズ(Singhalese, GB)

なぜ変えた?――“外国G1牝馬の輸入直結”。オークス馬シンハライト、重賞馬多数の母。
物語:米G1デルマーオークス勝ち後に日本へ。シンハライト(オークス)、リラヴァティ、アダムスピークと多数の活躍馬を送り、走る牝馬をそのまま母にするという最短ルートを示した。
余波:現役実績の高い牝馬を“完成品として”輸入するトレンドを後押し。

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