【菊花賞2025血統分析】ステイヤー決定戦は今も健在か?過去20年の勝ち馬から見る血統トレンド

コラム・小ネタ

はじめに

秋のクラシック最終戦・菊花賞(京都芝3000m)
「最も強い馬が勝つ」とも言われるこのレースは、かつて“ステイヤーの登竜門”と呼ばれました。
しかし近年、その様相は変わりつつあります。

本稿では、過去20年の勝ち馬の血統を比較しながら、
「今なお菊花賞は“ステイヤー決定戦”なのか?」を検証していきます。


① 菊花賞の特徴と舞台設定

  • コース:京都芝3000m(外回り→内回り)
  • 直線:約404m+坂あり
  • 3コーナーからロングスパート戦

持続力とスタミナが問われる一方で、京都コース特有の“立ち回り”も重要。
つまり単純なスタミナ比べではなく、ペース配分・瞬発力・位置取りのすべてをバランスよく備えることが求められます。


② 2000年代前半:「ステイヤー血統黄金期」

勝ち馬父系特徴
2002ヒシミラクルサッカーボーイ(ノーザンダンサー系)長距離特化の持続型
2003ザッツザプレンティダンスインザダーク(サンデー系)スタミナ+末脚型
2004デルタブルースダンスインザダーク重厚スタミナ型

この頃はまさに“ステイヤー決定戦”。
父ダンスインザダーク(サンデー×欧州スタミナ)が連続好走。
ラップも前半スロー→後半ロングスパートで、長く脚を使える血統が圧倒的に有利でした。


③ 2010年代:「サンデー後継の万能型時代」

勝ち馬父系傾向
2011オルフェーヴルステイゴールド(サンデー系)天才型万能
2013エピファネイアシンボリクリスエス(ロベルト系)パワー+持続型
2015キタサンブラックブラックタイド(ディープ全兄)スピード持続型
2017キセキルーラーシップ(キングマンボ系)持続力+瞬発力融合

この時代から明確にトレンドが変化。
「いかにも長距離血統」というより、中距離GⅠでも通用する万能血統が主流に。

理由は大きく3つ。

  1. 3000m戦でもペースが上がり、消耗戦よりも“持続ラップ戦”に
  2. 馬場高速化により、欧州型スタミナ血統の出番が減少
  3. サンデー後継(特にディープ・ステイ・ブラックタイド)が適性拡大

→ 菊花賞=「純ステイヤー」よりも「万能中距離型+ロングスパート耐性」の時代へ。


④ 近年(2020年代):持続力×スピードのハイブリッド

勝ち馬父系コメント
2020コントレイルディープインパクト三冠達成。瞬発+操作性型
2021タイトルホルダードゥラメンテ(キングカメハメハ系)前傾ラップで押し切り型
2022アスクビクターモアディープインパクト持続力+先行力型
2023ドゥレッツァドゥラメンテ欧州的持続力の再評価

近年はディープ系とキングカメハメハ系(ドゥラメンテなど)の2強構造。
特に2023年のドゥレッツァは、「欧州スタミナ+スピード血統」が融合した理想的なタイプ。

→ 現代の菊花賞は「ステイヤー=スロー耐久型」ではなく、
“速い持続ラップを走り切れる馬”=モダン・ステイヤーが勝つ時代です。


⑤ 血統トレンドを整理すると

時代主流血統特徴
2000年代前半ダンスインザダーク系、欧州スタミナ系純ステイヤー型
2010年代サンデー後継(ディープ、ステイ)万能型+瞬発力
2020年代ドゥラメンテ・ディープ系融合スピード持続型

昔の菊花賞=「3000mを走り切るスタミナ」
今の菊花賞=「速い流れを最後まで落とさない持続力」

血統的には、ディープインパクト×欧州牝系、またはドゥラメンテ×サンデー母系といった「両立型」が理想形です。


⑥ 菊花賞はまだ“ステイヤー決定戦”なのか?

結論から言えば、形を変えたステイヤー決定戦です。

かつての「耐久型ステイヤー」ではなく、
今は「高速馬場を3000m持続できるスピードステイヤー」。

つまり、

  • スピードの持続力
  • 精神面の強さ
  • 配合バランス

この3点が揃った馬こそ、現代の“ステイヤー”と呼ぶにふさわしい存在です。


まとめ

  • 菊花賞は「純粋なスタミナ比べ」から「スピード持続力決戦」へ進化
  • 2000年代=ダンス・ステイ系、2010年代=ディープ系、2020年代=ドゥラメンテ系
  • 現代の勝ち馬は「芝中距離GⅠでも通用するスピード型ステイヤー」
  • 血統的にはサンデー×欧州スタミナの融合が黄金パターン

“長距離を走り切る力”の中身が変わっただけで、
最も強い馬が勝つという格言は、今も菊花賞に生き続けています。



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